レイシスト死ね!と叫ぶメキシコのテロリスト(偽) ~Brujeria「Raza Odiada」~

 

メリケンでトランプが大統領になってこの方、反対するアーティストがちょこちょこ出てきたりしてるわけですが(ラッパーのSnoop DoggがPVでトランプ人形をネタにしたりとか)、アメリカの政治家によるメキシコ人に対する差別を揶揄した音楽というととりあえずこの人たちが浮かぶんですよ。

 

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グラインドコア好きな人なら大体ご存知、Brujeriaの2ndアルバムです。

メキシコの反政府左翼テロリストが資金獲得のために麻薬売買と音楽活動をやっているというバンドです。

…ていう設定で、米英のデスメタルグラインドコア系の有名ミュージシャンがお遊び半分でやってるバンドなんですけどね、中心人物のDino Cazares始め、実際にメキシコ人/メキシコ系移民のメンバーがいます。

 

このアルバムの1曲目のイントロ、英語でなんか演説してるのですが、これが1994年当時カリフォルニア州知事をやってたPete Wilson氏のモノマネで、演説してる内容がこんな感じ。

They keep coming, savage brown skin poors,
across the custom checkpoints in San Diego Between Rack of
cars on our freeways, they hang their laundry out the
window, they do jobs white people are too cool to do
themselves. I don't care if it starts a race war, I don't
care if it brings every picked out of the class and gets
every brown skin savage beaten out on the street

 

I Pete Wilson gave you proposition 187

 

In this country you speak english or you get out

 

これ、音源聞くとめっちゃリズムのいい発音で演説しててなんか耳に残るんですよ。

このモノマネをやってるのが左翼バリバリのパンクミュージシャンであるJello Biafraだそうなので、ホントにこんなこと言ったかわかんないですが、ここに出てくる「proposition 187」てのが当時出ていたカリフォルニア州の住民提案で、不法移民を公共サービスから締め出すという内容です。
で、これを高らかに宣言するPete Wilson氏は、このイントロの中でスペイン語をしゃべるテロリストに滅多撃ちにされてます。がががががが、あ~、てな感じで。

これ1995年時点の作品です。「オバマの政権が~」とか「PCこん棒が~」とか、トランプ政権成立には言われてますが、四半世紀近く前から同じようなネタでブラックジョークにされていることを考えたら、アメリカ白人と不法移民のおかれてる状況も特に変化はなく、それを求めている層があるなぁという感じですかね。

 

アルバム全体でみると、ブルータルなデス/グラインドコアに90年代的なノリの良さを加えた感じなのですが、ヴォーカルが巻き舌のスペイン語で酔っ払いみたいなデス声なので、全体的にラテン系の陽気さが感じられるのが特徴です。
みんなで一緒に歌えるコーラス多いし。1局目「ぴとー、うぃるそん!!」、2曲目「こらーで、らーたっ!!」、3曲目「らみーぐぁ、らみーぐぁっ!!」とみんなで合唱して楽しめます。
もちろん他のバンドでキャリアのあるメンバーがそろっているため、演奏のキレも抜群。グラインドコア初心者にも楽しんでいただけると思います。

 

こんな人たちだから、トランプ大統領誕生にもなんかやってんだろなーと調べたら、

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あー、もう(苦笑)。そのままやんけ!!
オフィシャルマーチャンダイズでも自分たちの1stアルバムのジャケに使われている鉄道事故の被害者(彼らはこれを"Coco Loco"といってバンドのマスコットキャラにしてます。不謹慎すぎるだろ!)にコラージュしたTシャツを売ってます。

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こんな人たちでも(当たり前ですが)この春はヨーロッパツアーをやってます。
日本にも来てほしいです。「メキシコの麻薬王、ついに不法入国!」とかいうキャッチコピーつけて。